ImageCLEF 2013

中山です。
新年度が始まってから早くも一ヶ月が経ちました。中山研にも頼もしいM1の学生4名が配属され、それぞれ研究の方向性を少しずつ固めているところです。これから少なくとも2年間、博士まで行く場合は5年間続けていく研究活動の最初の一歩なので、焦らないで納得ゆくまでやりたいことを探してほしいなあと思っています。
まっさらな状態でテーマを探すのはとても大変ですが、ある意味羨ましくも感じます。ある程度研究者として業績を積んでいくとどうしても仕事がインクリメンタルになりがちなので、私自身も彼らを見習いつつ、一緒にいい仕事ができる様に頑張りたいです。

さて、当研究室(と言いつつ今回は私一人でしたが)では、今年度のImageCLEFという画像認識コンペティションPlant Identification部門に参加しました。これは、写真に撮った植物の葉・花・果実などからその種類を識別し精度を競うもので、将来的には野外で携帯カメラで撮影した植物画像の識別を行う図鑑アプリなどへの応用が期待されています。分野的には、近年脚光を浴びているfine-grained visual categorization (FGVC)に含まれると考えてよいでしょう。
このコンペでは、白無地の背景を前提として葉を識別するSheetAsBackground、一般的な自由背景を前提に葉・花・果実・幹・全景から識別を行うNaturalBackgroundと呼ばれる二つのタスクがあります。詳しくは、上記のリンク先にある画像を見て頂ければ様子が分かるかと思います。
SheetAsBackgroundは例年中心的に行われてきたタスクで、背景を白シートにし、認識対象である葉っぱもきちんと広げて中心にとらえて撮影するなど、かなり条件を整えています。どちらかというと、セグメンテーションや形状抽出の技術が重要になりそうな印象です。
NaturalBackgroundの方は今年から大幅に拡張された難易度の高いタスクですが、当研究室の技術的にはこちらの方が得意かなと思ってチャレンジすることにしました。(基本的に、昨年度から開発を続け、ICME'13 に採択されたFGVC向けの手法を使っています。)

結果は、NaturalBackgroundで第1位、SheetAsBackgroundで第3位と、なかなか良好な成績でした。特に、ターゲットとしていたNaturalBackgroundタスクで第1位だったのは大変満足です。まあ、第2位のチームとの差は誤差の範囲というところなのですが、締切二日前に思いついたシステムを、あきらめようかと思いつつもなんとか間に合わせたものがかろうじて上回ったので、見かねた神様が味方をしてくださったのかも知れません(笑)。いろいろ妥協した点もあるのですが、一発勝負のコンペティションだと普段と違った頭の使い方が必要になる部分もあり、勉強になりました。

もちろんコンペに勝つことはゴールでも何でもないので、他の参加者とも知恵を合わせつつ、このようなアプリケーションを実現できるように今後も頑張っていきたいと思います。今回使った手法はまだまだ大きく改善する余地があると考えており、今後は学生と一緒に更に発展させていければよいかなと思っています。