SSII-富樫

富樫です。

遅くなりましたが、岩本くん、玉那覇くんの報告に続いて僕もSSII2014の見学報告をします。

SSIIの一日目はチュートリアルでした。王道の画像処理の話から、認識問題に役立つ機械学習
それらを実行するための効率的な並列処理技術など、広い範囲の内容が扱われていました。

一つ目は、千葉大学総合情報センターの川本先生による"いまさら聞けないグラフィカルモデル入門"。
ベイジアンネットワークやマルコフ確率場はなんだかよく見かける割にしっかりとやっていたわけではなかった僕にとっては
とってもわかりやすくて、面白く聞かせて頂きました。
川本先生がhead-to-headを"ややこしい人"と呼んでいたのはクスリと笑いました。

二つ目は、東工大の田中正幸先生による"見えない画像を見るための2次元再構成"。
劣化モデルに対して、超解像、ぶれ復元、デノイジングという工学的に必要とされる処理を一旦定式化してから、
それを解決するためのいろいろな手法を紹介されていました。
自然画像の事前分布が実は小さいところに収まっているという話は知らなかったので、なるほどと思いました。
特に興味深かったのは、自然画像データベースから得られた低解像度のパッチ辞書と高解像度のパッチ辞書の
それぞれ異なるスパース係数のカップリングを学習することで、低解像度画像から高解像度の画像を構成するという事例ベースの超解像の話でした。

三つ目は、名城大の堀田先生による"機械学習の基礎とコンピュータビジョン応用"。
多変量解析からSVMDeep Learningまでと広い範囲を一時間半で行うと聞いていたので、
Deep Learningについては流石に少し触れる程度かなと思っていたら、半分くらいの時間を使って
流行りのConvolution Neural Networkからその要素的な技術まで詳しく説明されていました。
企業の方も多くお越しになるのだそうなSSIIにおけるチュートリアルという場で、
このような構成に堀田先生がされたということは、やはりCNNへの注目度は研究のみならず産業レベルでも高まっているのだと思います。
多変量解析やSVMの説明もとてもわかりやすくて、大変興味深かったです。

四つ目は、名工大の福嶋慶繁先生による"マルチコアを用いた画像処理"。
画像処理だと特にCUDAプログラミングをベースとしたGPU処理というのが盛んに利用されている中で、
あえてマルチコアCPUやSIMDによる更なる性能向上の可能性を紹介していました。
並列化コンピューティングのデザインパターン(Map, Reduction, Stencil, Scan, Fork-join, Pile-line)
を使いながら実際の簡単な画像処理のどのような部分がそれに適応できるのかを詳しく説明していました。
終始ジョークを交えつつの発表で、内容共に刺激的な発表でした。