SSII-玉那覇

那覇です。

先日、パシフィコ横浜にて画像センシングシンポジウム(SSII'14)の見学をさせ
ていただきました。この分野の学会を見学するのは初めてです が、SSIIではデ
モンストレーション発表の枠があり、その場で成果物が動くところを見ることが
できるという点が特に面白いと感じました。また、 ポスターセッションの枠も
あり、全体的に発表をする側の人と見る側の人がインタラクティブに接する機会
が多く設けられているというように思いまし た。

では、今回見学させていただいた数々の興味深い研究のうち、その一部を紹介さ
せていただきたいと思います。


・局所特徴量のペアを用いた画像のカテゴリ識別
植木 一也, 俵 直弘, 白石 洋平, 小林 哲則

 SIFTによって得られた局所特徴量をもとに特徴量のペアをつくることで、共起
情報を含むような特徴量を用いるカテゴリ識別の手法を提案。ペア の組み合わ
せ方は複数のパターンがあり、各パターンに対して Bag-of-Features によって
エンコーディングを行います。識別器は各パターンごとに用意されており、それ
ぞれの識別器から得られた確率の平均値が最終的な識別結果となりま す。実験
ではペアにした特徴量を用いた提案手法が、従来の単体の手法よりも高い精度で
識別を行えることが示されています。
 実験では2x2の領域内でペアを作った場合の結果より、拡張した3x3の領域内で
ペアを作った場合の方が高い精度が得られていましたが、単純に 4x4、5x5、と
いった具合にさらに領域を拡張した場合や、ペアではなく三つ組、四つ組のよう
に組み合わせる特徴量の数を大きくするとどういう 影響があるのかが個人的に
気になる部分でした。


・螺旋状特徴による三次元物体の位置・姿勢推定
吉村裕一郎, 青木公也

 三次元物体を検出するための手法である螺旋状特徴SSF(Spiral Sampling
Feature)を回転・角度変化に対して頑健にする研究。SSFは物体表面の任意の点
を中心として、中心から螺旋状に取得した近傍の点の法線ベクトルと 中心点の
法線ベクトルのなす角を基にした、波形として表現される特徴量。対象物体の一
部から得られたSSFのうち、中心から離れた螺旋状の一部を 使うことで回転変化
に対応させ、螺旋の同一周上の連続した波形の一部を切り出し探索シーン上の
SSFと位相合わせを行うことで、物体の角度を推定 しています。
 法線ベクトルのなす角を用いるという点が三次元ならではで面白く、特徴量を
波形として表現することで位相合わせによる物体の角度の推定が行える ように
なっているところも興味深い点だと思います。


・インスタント3D復元による位置情報付き画像データベース構築とその利用
鳥居秋彦, 井上優希, 董亜飛, 杉浦貴行, 奥富正敏

 位置情報付き画像データベースを使って、撮影した画像をクエリとする検索
ベースの位置推定を行う研究。提案しているシステムでは、インスタント 3D復
元によって写真を撮影したカメラの位置と向きを推定して位置情報付き画像デー
タベースを構築しており、このデータベースに対して別途撮影し た画像をクエ
リとして画像検索を行うことで、撮影位置を推定することができるようになって
います。
 撮影位置情報付きデータベースの構築には特別な撮影装置が用いられることが
多いようですが、提案しているシステムでは一般的に入手可能なカメラ のみを
撮影装置として使ってデータベースを構築していることがポイントのようです。