ヴェネチア大学訪問研究(その1)

前回の日記にも書きましたように、年明けからヴェネチア大学へ訪問研究に来ています。あっという間に一ヶ月がすぎ、あと一週間ほどで帰国の予定です。今日はこちらの様子を少し紹介したいと思います。

こちらでは、大学から紹介されたアパートの一階に住んでいます。生活に必要なものは一通りそろっており、居心地はとてもよいです。

一歩外へ出るとこんな風景です。

近くには、Madonna dell'Orto という有名な教会があります。水上バスの駅名にもなっています。

ヴェネチアは歩いているだけでもとても楽しいのですが、潮位が高いとたまに道が冠水するので大変です。また、アパートは一階なので、潮位が高いときは排水が悪くなるのが困りものです。シャワーなどは時間帯を見計らって使う必要があります。特に高いときは部屋の中に水が入ってこないように入口を鉄板で塞ぐ必要があるらしいのですが、幸いそこまでの潮位は経験せずにすみそうです。

訪問研究先はヴェネチア大学のコンピュータ科学専攻ですが、この専攻がおかれているキャンパスはヴェネチアの中にはなく、イタリア半島本土へ渡ったところにあるので、毎朝ローマ広場からバスに乗って通っています。島を出ると、ヴェニスの伝統的で華やかな風景とうってかわり、ごく普通の地方都市という感じがしました。
こちらがコンピュータ科学専攻の建物です。こじんまりとしていますが、静かで落ちついたところです。1月は試験期間中だったようで、学生さんが多くいました。

今回の訪問先の先生は、コンピュータビジョングループのAndrea Torsello先生です。とても親切で気さくな方で、研究はもちろんのこと、初日にヴェネチアまで迎えに来てくれたり役所での用事につきあってくれたりと生活面でもちょっと申し訳なくなるくらいお世話になっております。もしもこの先、自分の研究室で海外の学生や研究者を受け入れる時は、是非このようにありたいものです。
先生のご専門はグラフ理論ゲーム理論等に基づく構造学習で、3次元の形状モデルマッチングや、画像セグメンテーションなどを対象に研究をされています。現在、IAPR-TC15のchairもされており、この分野の第一人者です。
http://iapr-tc15.greyc.fr/

コンピュータビジョングループ全体のリーダーはMarcello Pelillo先生で、Similarity-based pattern recognition の専門ワークショップであるSIMBADを主導されている著名な先生です。これは、よく行われるように特徴ベクトルを経験的に設計するのではなく、サンプルのsimilarityがどうあるべきかという観点から議論をすすめるもので、そこにグラフ理論などを用いた表現能力の高いモデルをもちこむことで強力な手法を構築しています。

この考え方には非常に共感するところがあり、グラフ理論などをしっかり勉強したいと前々から思っていたため、今回こちらの研究室にお邪魔させて頂くことになりました。期待していた通り、非常に面白い共同研究ができそうです。